プロフェッショナル アジングの流儀
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どうしてこんなに遅く?
日が下り始めたころに職人は起きる。
アジング職人「夜中は常夜灯にアジがいますからね。これくらい暗く来ないと居着いてないんですよ」
きつくはないんですか?
アジング職人「まぁ、最初は嫌でしたよwでもこの釣りを続けるうちにどんどん苦にならなくなっていったんです」
そういいながら淡々とキャストを続けている。普通のアジンガーでは到底出せそうにないキャスト音を無音の夜空に響かせる。
何気ないキャストの一つでも職人技が光る。
いつもはこんな風に釣りを?
「いえ、いつもは片膝をついてアタリを待っています。初心者の頃はずっと立ったまましていましたがw」
「膝をついた方が、アタリに集中出来るんですよね。いまではこのままキャストできますw」
アジングを始めたきっかけは?
アジング職人「友人に勧められて始めました。今は僕の方がハマってますw」
遠くから会話が聞こえる。釣り場にちらほら人が現れるようになった。
アジング職人「あちゃーきちゃいましたね。奴らはエギンガーですよ。近くでシャクられるとアジが警戒して食いが悪くなるんですよね。まぁ見ててください」
そういうとクーラーとタモを持ち、左右広範囲に置いていく。何食わぬ顔で釣り座を陣取る姿ははまさに職人を感じさせる。
すごいですね・・・
アジング職人「たまに言い合いになることもえります。クーラーを蹴られたり、まぁ初心者にはお勧めできない諸刃の剣ですね」
時刻はもう24時。1匹も釣り上げることなく。職人は道具をまとめはじめた。
アジング職人「このポイントはもうダメですね。アミパターンに入ってます。場所を変えましょう。」
そう言うと、防波堤全体が見える場所まで移動し、見渡しはじめた。
「いまは何を?」
アジング職人「そうですね、サビキ師のいる場所を探しています。アジはコマセに寄ってきますので、そこを狙います。」
そういうと職人は1点を見つめる。見つめること数十分、職人に変化が
「どうしたんですか?」
アジング職人「いましたよ。ウキが沈むのが一瞬見えましたwあそこにアジはいます。行きましょう。」
眠くはないんですか?
アジング職人「最初は眠かったですよ。ですが釣れる予感が脳を覚醒させましたw」
アジングやめそうになったことは?
アジング職人「それは家族に釣りをやめてくれといわれたことですかね。時間が時間なのでなかなか理解を得られないんですよ。いまでは口も聞いてくれません」
そうこうしている内にポイントへ到着。職人はなに食わぬ顔でサビキ師の3m隣に陣取る。
妙に嬉しそうだ。
どうしたんですか?
アジング職人「潮下取れましたよw激アツですねw」
なぜ激アツ?
アジング職人「そうですね、コマセがこちらに流れてくるので、コマセの中でアジングしてるようなものです。きっと釣れますよ」
そういうと、ウキの近くにキャストをはじめた
サビキ師は迷惑そうな顔をしながら
テンポ良くと良型のアジを釣りあげる。どうやら時合のようだ。
アジングとサビキの違いは?
アジング職人「いろいろありますが一番はやっぱり楽しい事ですかね。サビキはどうしても作業しているっていう感じになるんですが、アジングは棚、ベイトを考えながら釣りできますからね。掛けた感がたまらなく好きなんですよ。まぁ、サビキしたことないですけどw」
そういうとまた黙々とキャストを始めた。
おや?職人の顔が強張っている
どうしたんですか?
アジング職人「いまアタリましたね。さっきジグヘッドを0.3gに変えたんですが、パターンはおそらく表層でしょうね。」
職人は一切妥協しない。
時刻はもう2時、深夜である。永遠とキャストを繰り返し、表層パターンを探っているようだ。
そういえばお隣のサビキ師はかなり釣れてますよね・・・?
アジング職人「まぁ、こうゆうこともあります。パターンさえ掴めれば僕も爆釣ですよ。」
諦めないその姿勢から、職人の心意気をあらためて実感させられた。
すると、職人の竿がしなる
アジング職人「きましたよ!この引きはきっとアジです。ほら、頭振ってる!」
卓越した竿さばきで職人は獲物を取り込んだ
アジング職人「子メバルですね…」
いつまでやるんですか?
アジング職人「今日はそろそろ終わりにしようかと。とりあえずボウズも回避しましたし、1度休憩をして朝マヅメを狙います」
休憩をはさみ、時刻は5時を回ろうかという時、職人は動き出す。
アジング職人「そろそろ・・・ですかね」
職人がポイント入った瞬間釣り座に残っていたアジンガーは帰って行った。絶好のタイミングである。そうすると職人はまたポイントを陣取りキャストを始める。
アジングをやっててよかったと思うときは?
アジング職人「やっぱり、爆釣した時ですよね。1度、1時間で20匹釣れたことがあります。入れ食いでしたね。その時はやっててよかった〜と思いました」
そう語る職人の顔はとてもうれしそうだ。
職人の武勇伝を聞いているうちに、日の出を迎えてしまった
アジング職人「今日はアジ入って来ないみたいですね。マヅメも終わりましたし、帰って明日に備えます」
そういうと職人は子メバルを乄めはじめた。釣りあげた魚の鮮度も管理する本物の職人である。
明日は何時に?
アジング職人「明日も19時ですね」
アジング職人「明日は現地に着く前に釣具屋に寄ります。おやすみなさい」
アジング職人の長い一日が終わった。
職人の朝は遅い。日が下り始めた頃に職人は出かける
どちらへ行かれるんですか?
アジング職人「釣具のポイントです。」
何を買われるんですか?
アジング職人「そうですね、少しワームを。それと、気になるロッドもあるんですよね。」
そして店内へ
自動ドア「ドラララララ」
店員「いらっしゃーせー」
どのワームを買われるのですか?
アジング職人「そうですね、今日は渋かったので小さい系のワームを。これですね。」
隣のお客のカゴを見た職人
すると、眉間にシワを寄せ始めた
どうしたのですか?
アジング職人「いるんですよね、アジを掛けきれずにアシストフックを使う奴。私は認めませんね。」
こういった信念も職人には必要なのであろう
そういえばよく店員に話しかけますね?
アジング職人「これも情報収集です。私クラスになると普通のお客さんには教えない釣果情報を教えてくれるんですよ。」
職人たるもの情報収集には手を抜かない。
店員「昨日は〜漁港でかなり釣れてたみたいですね」
昨日行った場所ですよね?
アジング職人「・・・まぁ、間違った情報もあるので。それを見抜く勘も大事です」
ロッドは見ないんですか?
アジング職人「先ほど予約しましたwこのメーカーのロッドはもう10本ほど所持してます。信者なんですよね、先ほど購入したワームも同じメーカーです。先日握手会にも行ったんですよねw」
職人は誇らしげに語った
アジング職人「そろそろ行きますか」
職人の表情が変わる。
今日も同じ場所を?
アジング職人「ええ、昨日は調査です。本日が本番なので、おかげでいいアジングができそうです。」
そういうと店を出た。職人が語るには常人は調査をしないという。
アジング職人「これもアジングを極める為の一つの行程なんです」
今日も同じポイントですね?
アジング職人「そうですね、昨日とどう変化してるのか知りたくて・・キタ!くぅ〜っ」
どうしました?
アジング職人「いまアタリました。あの吸い込む感じ、アジですね。」
古いワームを地面に捨て、バックを開く。そして新しいワームを装着。その行動を30秒で終わらせるとものすごい勢いでキャストし始めた
アジング職人「コイ・・・コイ・・・チガウ・・・」
職人はブツブツと独り言を言いながらトゥイッチしている。
あのぉー・・・
アジング職人「」
返事はない。
アジング職人「いやぁすいませんね。アタリがあるとしばらく(といっても10分間ほど)アタリ以外聞こえなくなるんです」
釣れそうですか?
アジング職人「群れが逃げましたね。くっそ〜、ジグヘッドが重かったのかな?掛けれなかった〜」
そう語る職人の顔はとても嬉しそうだった
今日の予定は・・・?
アジング職人「このまま回遊を待ちましょうかね。おそらく、今日のベストポイントはここでしょう。」
明日も行くんですか?
アジング職人「行きますよ。明日は新しいロッドを試したいしね」
取材中アジの姿を見ることはなかった。しかし、職人が諦めずアジを追う後ろ姿には決意が感じられた。
アジングを愛し、これからも盛り上げていく。
職人は誰かの受け売りのように語った。
全てを捨てアジを追う職人に取材陣は少なからず同情した。
最後にお聞きします
職人にとってアジングとは?
アジング職人「自分との戦いですね」
・・・
ありがとうございました
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